家系ラーメンに合う麺の選び方──切り刃・加水・カンスイ、その理由とは?
こんにちは、佐々木製麺の佐々木健一です。
今回は、私がこれまで数多くの家系ラーメン職人と向き合ってきたなかで、たどり着いた「本当に家系に合う麺の条件」について、職人目線で深掘りしてお話しします。
切り刃は“逆刃”が肝心。家系の食感を支える隠れた主役
麺づくりで見落とされがちなのが、「切り刃の向き」です。
家系ラーメンでは、逆刃(ぎゃくば)の切り刃を使うことで、独特なザラっとした舌触りと、噛み応えが生まれます。
これは、ただ太いだけの麺では出せない食感です。
スープの強さに負けないよう、表面にほんのり荒さを出すことで、麺の存在感を際立たせます。
「同じ太さでも、刃を変えるだけでこんなに違うのか!」という声、実はけっこう多いです。

低めの加水率で、スープの力強さと一体化させる
家系スープはとにかく濃厚で、粘度も高めです。
ここに加水率の高い“つるつる麺”を合わせると、麺だけ浮いてしまうような印象になります。
そこでおすすめなのが、加水率30〜32%程度の低加水麺。
水分を抑えることで、スープが麺にしっかりと染み込み、食べたときに「口の中で一体化する感じ」が生まれます。
個人的には、31%前後が「噛んだときの気持ちよさ」と「持ち上げ」のちょうどいいバランスだと感じています。
カンスイ濃度は、家系では“やや高め”が基本
カンスイ(かん水)は、麺のコシや弾力、色味、そして風味に大きく関わる成分です。
特に家系のような強いスープには、カンスイ濃度をしっかり持たせた麺が合います。
これにより、麺がスープに負けず、香りと風味でしっかり“主張”してくれます。
ただし、入れすぎるとアンモニア臭が出るので、0.8〜1.0%程度がバランスの目安。
配合の塩梅には、いつも神経を使っています。
まとめ:家系ラーメンの麺は“細部の積み重ね”で完成する
要素 | こだわりポイント | 効果 |
---|---|---|
切り刃 | 逆刃使用 | 舌触り・噛み応えの強調 |
加水率 | 30〜32% | スープとの一体感・吸い上げ力 |
カンスイ | やや高め(0.8〜1.0%) | 麺の風味と力強さ |
家系ラーメンは一見“豪快”に見えますが、本当に旨い一杯を作るには繊細な設計が欠かせません。
佐々木製麺では、お店のスープの性格や、店主の目指す味に合わせて、一番相性のいい麺設計をご提案しています。
ご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。